231103

膝の怪我が悪化した。最悪手術かもしれない、後遺症が残るかもしれない、といった、身体とその治療に関連する不安に加え、この怪我が原因で日常生活に不便をきたし、大学院生としての仕事もろくに進まないことへの不安が大きくのしかかってくる。

修士2回生のこの時期は、言うまでもなく大切だ。あと5ヶ月足らずで、この2年間、私が真っ当に健常者であったという(間違った)想定の手続きをすべて済ませ、次の段階に進むことを求められる。そのうえで、引っ越しだけは絶対にしたい。今の怪我で、それらの両立はできないと思う。やり切れる自信がない。

変な話、このまま修論を出して卒業できる自信がないし、そういう人生を素直に歩める自信もない。私はD進することになっているから、そこそこ順調に行けば、修士の仕事を終えたらすぐに春の学会参加、その後DC2を書き、今やっている研究でひとまずの結果が出れば国際学会の準備もすることになる。その間にも絶えず実験、ゼミ、雑誌会がある。また立ち止まってしまう身体に鞭をうって、考える力を奪われながらこの生活を続けるのか。泣きたくなる。病んだ私が悪かったのか。怪我した私が悪かったのか。私は動かない身体と、時間を進めたがる社会という檻に閉じ込められた奴隷だ。動く身体のモラトリアムで、もう一度だけ、少しでいいから自由に考えたい。

231020

東大駒場キャンパスを見たあとの京大吉田キャンパスは本当にスラムみたいで、狭くて薄汚い。

京大吉田キャンパスを見たあとの宇治キャンパスは本当に静かで、何もないけど生産的で明るく見える。しかし吉田よりいっそう狭く、息をするのもはばかられるほどに薄汚い。

宇治キャンパスを見たあとの東北大青葉キャンパスは、もっともっとはるかに静かで、生産的で明るく見える。目をつぶってしまうほどに眩しいから、暗闇の底と区別がつかない。

231019

大学院生活に困難を感じ、薬を飲み始めて1年3ヶ月がたった。抗不安薬は半年前に切れたが、睡眠薬からはまだ抜け出せない。

自分のうつ状態からはほぼ抜け出せたと思っている。その一方で、「自分以外の世界が躁状態に陥っている」という感覚からはずっと抜け出せていない。大学院という特殊な環境のせいもあるかもしれない。自分以外の世界の気分が昂りすぎて、異常なほどのフルパワーで動いているように見える。

未完の治療を続ける私には、ひとつの確信がある。本当の治療対象は世界だ。世界が自分の病を認めない限り、ここから先には進めない。それなのに、世界は今日も、治療を頑なに拒否し続ける。そんな病的な世界の明日に食らいつくために、今日も睡眠薬を飲んで寝る。